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シリーズ「わたしと看護」①

Updated: Aug 31, 2023

対話がケアの原点。患者さんが安心して話せる場がもっと広がってほしい。


シリーズ『わたしと看護』ではTomopiiaのSNS看護コミュニケーション研修に参加してくださった看護師さんや、研修後、対話体験に参加いただいている看護師さんにお話を伺います。


今回お話を伺う中村創さんは普段は、精神科に特化した訪問看護サービスを行っている(株)N・フィールドで勤務されています。忙しい日々のなか、Tomopiiaの活動に興味を持っていただき、対話サービスを経験した中村さんはTomopiiaでの対話体験にどんな価値を発見してくださったのでしょうか。


株式会社N・フィールド 広報部長 精神看護専門看護師/公認心理師  中村 創さん 



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——現在のお仕事について教えてください


精神科に特化した在宅医療サービスを展開している(株)N・フィールドで勤務しています。広報部部長として社内外に精神保健の知識普及を発信しています。また社内教育の一環として社内研修の立案や教材の作成をする一方で、看護師として訪問看護の現場も回っています。


——中村さんが看護師になった経緯を教えてください


実は最初は看護師ではなく、医師を目指していました。子どものころに通っていた小児科の医師に憧れていたんです。でも受験がうまくいかず、予備校の先生の勧めで看護大学を受験し入学することになりました。周りはみんな看護師になりたくて大学に来ているのに、自分はまだ医師をあきらめきれず、自分の歩んでいる道が本当に正しかったのかモヤモヤと悩みながら大学に通っていました。


そんな中、精神科病棟での実習に行ったときに、“あ!自分と同じような悩みを抱えている人がたくさんいる!とストンと落ちた感覚があったんです。自身も無意識のうちに抑制をかける癖がついていたので、患者さんの気持ちや境遇を自分に重ねることができたのでしょう。一番最初に医療を志した理由を考えた時に、医術がしたかったわけではなく、子どものころにお世話になった医師のような親しみやすい人柄に憧れていたことに気付きました。その小児科で働いていた看護師も同じように温かい人たちだったのです。


この出来事をきっかけに、看護師という仕事に対する見方も変わりました。


———看護師免許を取得した後の経歴を教えてください


大学卒業後、病院の急性期病棟でいろいろな患者さんを担当した後に、希望していた精神科へ異動しました。その後、介護施設や精神科の閉鎖病棟で10年間勤務しました。


閉鎖病棟では、私が退院を支援した患者さんが、2ヵ月もすると再入院してしまうということを何度も経験し、無力感を味わいました。結局、社会に居場所がないばかりに、患者さんが“1人にされた”と思って再度、戻ってきてしまうんです。


そんなときに各地域にコミュニティがあればそこに帰ることができる。どのような状況であれ安心して対話できるコミュニティ、居場所こそ患者さんには必要なのだと考えていました。


閉鎖病棟で働きながら、その先の社会の在り方について考えをめぐらせていたときに、参加した研修の講師が大学の先生で、精神看護専門看護師コースへの入学を勧めてくださいました。最初は悩みましたが、家族のバックアップもあり、大学院へ行き、無事に修了、資格取得をすることができました。


———病院勤務を経て、訪問看護に携わるようになった経緯を教えてください


やっぱり地域の整備が先だと思ったんです。せっかく退院できたとしでもその受け皿が社会にないと意味がないと思っていました。地域の整備をしたい、そう考え始めた矢先に声をかけていただいたのが現職のN・フィールドでした。「私たちは、地域社会における在宅医療サービスを通じて、安全・安心・快適な生活環境を創造し、人々のライフプランに貢献します。」という企業理念のもと、精神科に特化した在宅医療サービスを全国的に展開しているということを知り「ここなら自分が病棟でできなかった地域の整備ができる」と、感じ入社を決めました。


———TomopiiaのSNS看護コミュニケーション研修に参加したきっかけは何ですか


上司から勧められて参加しました。Tomopiiaのサービス内容を聞いて“この手があったか”と思いました。というのも言語化することで落ち着く患者さんをこれまで多く見てきたので。また対面ではなくチャットであれば、それぞれが自分のタイミングで受け止めて、言葉を返すこともできます。どんなサービスなのか実際に使ってみたいと思って研修に応募することにしました。


———研修に参加された感想を教えてください


Tomopiiaの研修では、対話演習の後にフィードバック面談がありました。自分が送った文章を第三者が評価してくれるというのはすごいこと。臨床、とくに訪問看護の現場において、自分の言葉が適切かどうかという評価は目の前の患者さんしかしてくれないわけです。


しかし多くの場合、患者さんは何か思うことがあったとしてもこの場を壊してはいけないと思ってなかなか言い出せずにいます。溜め込んだ気持ちが限界に達してから“もう来ないでください”と言われてしまう場合もあります。ですから言葉のトレーニングはよほど意識していないと積むことができないのが現状です。大学院のときに面談場面を録画し、その録画を見ながらスーパーバイズを受けるというトレーニングがあったのですが、その文面版がこういう形で実践できるのだと感心してしまいました。しかもアドバイスをくれたTomopiiaの看護師の方が非常に温厚で褒め上手で(笑)、実際にがん患者さんとの対話サービスにも参加することになりました。


———患者さんとの対話サービスに参加されて、どのような気づきがありましたか。


相手の真意やニーズを文面から察するのって本当に難しいことでした。張り切り過ぎてつい重めの文章になってしまったりして、私が対面で培ってきた技術とはまた別物である、ということを思い知らされました。対面とSNSでまったく種類が違うのだと痛感しました。


その頃心理の勉強もしていて公認心理師の資格も取ったのですが、心理師のネットワークの中で聞いたところ以前は自殺防止の相談サービスは電話が主でしたが、現在はSNSでの相談件数の方が上回っているというお話がありました。今後は文章でのコミュニケーション力も求められていくと思いますし、Tomopiiaの研修内容は各方面で必要とされるのではないでしょうか。Tomopiiaは現在はがん専門ですが、もしこれを精神に応用するとどうだろう?と考えを深めることができ、そういう意味でも非常にいい経験になっています。


———「対話」はケアの中でも重要性が高いと感じますか


訪問看護を回っている時に実際に利用者さんから言われたことがあるのですが、「どうでもいい話をしなかったら嫌だよ」と。目の前の壁にぶつぶつ話すよりも、そこにいる人にただ話すというか、ただいるというだけで価値があることだと思うんですよね。


それは人に語りかけている自分を認識することができるからです。案外くだらないことを言っていても、うんうんって聞いてくれるから調子に乗って話せるんですね。


Tomopiiaの対話でも日常生活の話だったり他愛のない話をしながら、つながりを感じる、話す相手がいる、気にかけてくれる人がいるということが大切なんですね。


やっぱり“対話”は医療の原点なのではないかとつくづく感じます。ただ各現場では医師も看護師も非常に忙しいことは私も重々承知しています。ルーチンを終わらせないと仕事が終わらないという方に頭が行ってしまい、本来大事にされるべき対話がなおざりになってしまっている部分があると思います。医療現場がすぐに変われないのであれば、変えていけるところや使えるところはどんどん他のサービスを活用していくのもいいと思います。Tomopiiaのようなサービスが充実すると同時に、医療の体制も変わっていくことで、患者さんが安心できる対話の場がもっと広がっていくことが理想ですね。

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